従来の「技能実習」に加え、2019年に新しく「特定技能」が創設されましたが、
どのような違いがあるかわからない方も多いのではないでしょうか。
今回、2つの制度の違いを比較し解説していきます。
- 制度の目的の違い
- 就業可能な業務内容や業種の違い
- 特定技能1号、2号の就業可能な職種
- 技能実習の就業可能な職種
- 転職が可能かどうかの違い
- 家族が帯同可能かどうかの違い
- 受け入れ人数の違い
- 関わる団体・組織の違い
- 業務の目的の違い
- 民間の企業が参入できるかの違い
- 費用の違い
- まとめ
従来の「技能実習」に加え、2019年に新しく「特定技能」が創設されましたが、
どのような違いがあるかわからない方も多いのではないでしょうか。
「技能実習」と「特定技能」はどちらも在留資格ですが、内容は大きく異なります。
異なる点を6つに分け解説していきます。
1 制度の目的の違い
まず「技能実習」と「特定技能」では制度の目的が違います。
「技能実習」は開発途上の国への協力という国際貢献のための制度として設けられた在留資格です。日本の高い技術を現場での実習を通して習得し、身に着けた技術・技能を発展途上の母国に持ち帰り伝えていくことを目的としています。
一方、「特定技能」は日本国内で人材を確保することが困難な産業分野において一定の技能を有する外国人を受入れることを目的としています。
2 就業可能な業務内容や業種の違い
「技能実習」と「特定技能」では就業が認められている業務内容や業種が異なります。
「技能実習」は現在86職種158作業あり、「特定技能」は14職種あります。
「技能実習」で受け入れができるからと言って、「特定技能」も受け入れられるとは限りませんので注意が必要です。
- 技能実習の就業可能な職種
技能実習 | |||
耕種農業 | ウェルポイント施工 | 下着類製造 | 印刷 |
畜産農業 | 表装 | 寝具製作 | 製本 |
漁船漁業 | 建設機械施工 | カーペット製造 | プラスチック成型 |
養殖業 | 築炉 | 帆布製品製造 | 強化プラスチック成型 |
さく井 | 缶詰巻締 | 布はく縫製 | 塗装 |
建築板金 | 食鳥処理加工業 | 座席シート縫製 | 溶接 |
冷凍空気調和機器施工 | 加熱性水産加工食品製造業 | 鋳造 | 工業包装 |
建具制作 | 非加熱性水産加工食品製造業 | 鍛造 | 紙器・段ボール箱製造 |
建築大工 | 水産練り製品製造 | ダイカスト | 陶磁器工業製品製造 |
型枠施工 | 牛豚食肉処理加工業 | 機械加工 | 自動車整備 |
鉄筋施工 | ハム・ソーセージ・ベーコン製造 | 金属プレス加工 | ビルクリーニング |
とび | パン製造 | 鉄工 | 介護 |
石材施工 | そう菜製造業 | 工場板金 | リネンサプライ |
タイル張り | 農産物漬物製造業 | めっき | コンクリート製品製造 |
かわらぶき | 医療・福祉施設給食製造 | アルミニウム陽極酸化処理 | 宿泊 |
左官 | 紡績運転 | 仕上げ | PRF製造 |
配管 | 織布運転 | 機械検査 | 鉄道施設保守整備 |
熱絶縁施工 | 染 色 | 機械保全 | ゴム製品製造 |
内装仕上げ施工 | ニット製品製造 | 電子機器組立て | 鉄道車両整備 |
サッシ施工 | たて編ニット生地製造 | 電気機器組立て | 空港グランドハンドリンクリンク |
防水施工 | 婦人子供服製造 | プリント配線板製造 | |
コンクリート圧送施工 | 紳士服製造 | 家具製作 |
参考 厚生労働省 技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(令和4年4月25日時点 86職種 158作業)
- 特定技能1号、2号の就業可能な職種
特定技能1号 | 特定技能2号 |
建設業 | 建設業 |
造船・舶用工業 | 造船・舶用工業 |
自動車整備業 | |
航空業 | |
宿泊業 | |
介護 | |
ビルクリーニング | |
農業 | |
漁業 | |
飲食料品製造業 | |
外食業 | |
素形材産業 | |
産業機械製造業 | |
電気電子情報関連産業 |
3 転職が可能かどうかの違い
「技能実習」は労働が目的ではなく実習が目的であることから、転職という概念は存在しません。就業先が変わる場合は転籍という考え方になります。
実習先の企業が倒産した場合、または技能実習2号から3号に移行した場合などに転籍が可能になります。
一方「特定技能」は就労資格なので同一分野または転職先の分野に害塗油する技能評価試験を合格しており日本語量の句試験4級以上であれば転職が可能です。
4 家族が帯同可能かどうか
「技能実習」は帰国することが前提の制度ですので家族帯同はできません。
「特定技能」は「特定技能1号」は原則として家族帯同は認められていませんが「特定技能2号」は母国にいる配偶者及び子供に限って日本に呼ぶことができます。
ただし、特定技能2語の資格要件を満たすことが難しい上に限られた分野のみにしか特定技能2号への変更が認められていないため母国より家族を呼ぶことは難しいと考えられます。
5 受け入れ人数の違い
「技能実習」は目的が技能を習得し母国に持ち帰ることですので、適切な指導が行き渡るよう受け入れには人数制限が設けられています。
一方、「特定技能」は日本国内の人材不足を補うことが目的ですので、原則として人数制限はありません。ただし、業種によっては制限がある場合がありますので、該当の業種の企業が受け入れを行う場合は注意が必要です。
6 関わる団体・組織の違い
「技能実習生」を受け入れる企業を監理する団体は「監理団体」です。
「特定技能外国人」の支援業務を委託できる団体は「登録支援機関」になります。
「監理団体」と「登録支援機関」には以下のような違いがあります。
- 業務の目的の違い
「監理団体」の業務目的は「技能実習生」の受け入れ企業が適切な実習を行うように監督することです。「監理団体」は受け入れ企業に対し3か月に1回以上の監査を行い実習が適切に行われるように指導します。
一方、「登録支援機関」の業務目的は「特定技能外国人」を受入れる企業に代わり、受入れの際に国が受け入れ企業に義務付ける支援を担うことです。
- 民間の企業が参入できるかの違い
「監理団体」は非営利法人である協同組合が運営を行っており、営利目的の民間企業は認可されません。
「登録支援機関」は条件を満たしていれば、民間企業が運営を行うことができます。
- 費用の違い
「監理団体」の場合は、受け入れ企業は監理団体に対し契約で定められた監理費を毎月払います。「監理団体」ごとに費用は異なりますが相場は25,000~50,000円程度です。
「登録支援機関」の費用の相場は「監理団体」より安いことが多く20,000~35,000円程度が相場となっています。
7 まとめ
いかがだったでしょうか?
同じ在留資格でも「技能実習」と「特定技能」では就労できる職種や就労条件など様々な点で違いがあります。
外国人の雇用を検討している方は、今後の方針や現在の状況を踏まえ在留資格の違いを理解した上で最適な制度を選択しましょう。
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