「自動車整備」において、特定技能外国人を雇用したい場合、任せられる業務内容は①自動車の日常点検整備②定期点検整備③分解整備の3つで、そのために必要な準備や注意点を解説していきます。
- 「自動車整備」で、特定技能外国人の受け入れができる業務・業種とは?
- 「自動車整備」で、受入れ可能な特定技能外国人とは?
- 「自動車整備」での、受入れ企業(特定技能所属機関)の要件とは?
- 「自動車整備」で、特定技能外国人を活用する上での注意点とは?
- まとめ
「特定技能制度」(Specific skill system)・・・
特定技能制度は、2019年4月から始まった制度で、国内での人材確保が困難な産業分野で、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることができる制度。
今回は、その中の一つ、「自動車整備」について解説させていただきます。
制度設立の背景としては、2011年頃まで自動車整備業界の有効求人倍率はそこまで高くはなかったのですが、少子化だけでなく、若者の自動車離れ、職業多様化などで、自動車整備士を目指す若者が激減しただけでなく、自動車整備要員の平均年齢が年々上昇し、引退する整備士の増加などにより求人倍率上昇に拍車がかかりました。
そのため自動車整備分野も人手不足改善を目指し「特定技能」制度の対象業種に認定され、外国人の受け入れが可能となりました。
- 「自動車整備」で特定技能外国人の受け入れができる業務・業種とは?
「自動車整備」において、特定技能外国人に任せられる業務は、
①自動車の日常点検整備
②定期点検整備
③分解整備
の3つです。
加えてそれ以外にも、整備内容の説明や関連部品の販売、塗装、洗車、車内掃除などといった、上記の関連業務を任せることも可能です。
②定期点検整備とは、
道路運送車両法に基づく法定点検整備であり、定期点検項目例としては下記のようなものがあります。
・ステアリング装置
・ブレーキ装置
・走行装置
・動力伝達装置
・電気装置
・エンジン
・サスペンション
・ばい煙・悪臭のあるガス・有毒ガスなどの発散防止装置
③分解整備とは、
下記のような装置の取り外しを行う整備や改造のことです。
- 原動機
- 動力伝達装置(クラッチ、トランスミッション、プロペラ・シャフト、 ディファレンシャル)
- 走行装置(フロン・トアクスル、リア・アクスル・シャフト等)
- かじ取り装置(ギヤボックス、リンク装置等)
- 制動装置(マスタシリンダ、ブレーキ・チャンバ、バルブ類等)
- 緩衝装置(シャシばね)
- 連結装置(トレーラ・ヒッチ、ボール・カプラ)
2.「自動車整備」で受入れ可能な特定技能外国人とは?
自動車整備では特定技能1号のみの受け入れしか認められておらず、2号は現在のところ対象外となっています。
そのため、働ける期間は5年間で、特定技能2号のように更新が無制限にできたり、家族を呼ぶことはできません。ですが、現在の人材不足の深刻化により、今後許可される可能性は見込めます。
特定技能1号の資格を得るには、一定程度の専門技能および日本語能力があることを試験で証明する必要があり、下記の2つのパターンがあります。
①本語能力試験と技能試験に合格する
・技能試験
「自動車整備分野特定技能評価試験」又は「自動車整備士技能検定試験3級」
特定技能とは、基本的には即戦力の雇用を目指した制度のため、技能水準を満たす必要があり、自動車整備分野の特定技能評価試験に合格する必要があります。
特定技能試験は日本各地で行われおり、海外ではフィリピンで実施されていますが、試験は原則日本語のため、日本語と技術の両方を勉強し、受験するのはとても難易度が高いのが現状です。
▶日本語能力試験
「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
日本語能力試験(JLPT)でN4レベル、もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」の合格が必要です。
N4:基本的な日本語を理解することができる。
読む:基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を読んで理解することができる。
聞く:日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。
(出典:日本語能力試験JLPT「N1~N5:認定の目安」https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html)
②自動車整備分野の第2号、もしくは第3号技能実習を修了した者
自動車整備分野の2号技能実習を修了した人であれば、無試験で特定技能1号に移行可能で、技能実習生のうち、自動車整備の技能実習2号を修了すると、必要な技能水準・日本語能力水準をクリアしていると判断され、上記のような技能試験・日本語試験は不要となります。
3.「自動車整備」での受入れ企業(特定技能所属機関)の要件とは?
自動車整備企業が特定技能1号外国人を雇用するためには、
①地方運輸局長の認証を受けていること
②「自動車整備分野特定技能協議会」 の構成員になること
※特定技能1号外国人を受け入れてから4か月以内に加入することが必要。
③同協議会に必要な協力を行うこと
の3つを満たし、なおかつ、直接雇用する必要があります。派遣社員としての雇用は認められていません。
加えて、特定技能外国人の受け入れのためには法律で定められた支援体制の構築もしくは支援内を登録支援機関に委託する必要があります。
より詳しく、国土交通省自動車局「自動車整備分野における外国人の受入れ(在留資格:特定技能)」によりますと、
- 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第78条第1項に基づく、地方運輸局長の認証(限定認証や二輪 のみも含む。)を受けた事業場であること
②国土交通省が設置する自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員になること
③ 上記②の協議会に対し、必要な協力を行うこと
④ 国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと
⑤ 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施の全部を委託する場合にあっては、以下の いず れにも該当する登録支援機関に委託すること
- 上記②~④いずれにも該当すること
- 自動車整備士1級若しくは2級の資格を有する者又は自動車整備士の養成施設において 5年以 上の指導に係る実務の経験を有する者を置くこと
出典:国土交通省自動車局「自動車整備分野に係る上乗せ告示(平成31年国土交通省告示第358号)」 https://www.mlit.go.jp/common/001282295.pdf
4.「自動車整備」で特定技能外国人を活用する上での注意点とは?
①転職可能な制度であるということ
特定技能制度の特徴として、転職可能であるという点があります。
技能実習制度では転職が不可だったため、外国人からすると様々な選択肢を得ることができますが、受入れ企業にとっては環境の準備、賃金水準の設定など、に考慮が必要となります。
②支援業務と登録支援機関の活用
特定技能人材を雇用するには、支援計画の作成や日々の生活支援などの業務が必要となります。受入れ企業が担うか、もしくは、登録支援機関に委託し支援業務をする必要があります。
③正社員雇用のみ
正社員としての直接雇用のみとなり、派遣での雇用は不可能です。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
「自動車整備」に限らず、特定技能外国人の雇用には様々なコストはもちろん、それまでに合格が必要な試験や資格など様々な準備があります。
スケジュールに余裕を持って、事前に調べておくことが大切です。
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