在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?特定技能との違いも解説

  1. コラム
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在留資格の「技術・人文知識・国際業務」とは、「特定技能制度」のように人手不足の解消を目的とした在留資格ではないため、注意しておくポイントや要件が異なります。その違いについて解説していきます。

  1. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」でできる業務
  2. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」を申請するための要件
  3. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請方法
  4. 採用する際に注意すべきポイント
  5. まとめ

在留資格の「技術・人文知識・国際業務」とは、「特定技能制度」のように人手不足の解消を目的とした在留資格ではなく、海外のワーキングビザに相当するもので、大学等を卒業した後に、外国人が日本の会社で就職する際取得できるビザです。

大学等で学んだ分野に関連する職に従事する必要があり、大学の専攻分野と本人が就く職務内容が関連していることが必要です。

外国人が来日して働くことで、外国人労働者の専門的な知識・技術を日本へ還元することが目的であり、人文科学・自然科学などの専門知識、外国の文化についての知識が必要な業務をおこなうための在留資格となっています。

  1. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」でできる業務

在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、専門知識を必要としないもの、外国人本人の学歴・職歴・文化などに関連しない業務の場合は、「技術・人文知識・国際業務」に該当しません。外国人が学んできた知識、仕事で得た経験、母国の文化・言語と関わりのある知識、それらと関連がある業務であれば従事することが可能となります。

出入国在留管理庁では、このように定義がされています。

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」

(出典:技術・人文知識・国際業務|出入国在留管理庁)

「技術・人文・国際業務」で認められる職種には、以下のようなものがあります。

  • 技術

機械工学の技術者、システムエンジニア、プログラマーなど

  • 人文知識

経理、人事、企画、人事、法務、総務、広報、商品開発、コンサルティング、マーケティングなど

  • 国際業務

通訳、翻訳、デザイナー、貿易、語学学校などでの語学講師、通訳が主業務のホテルマンなど

ですが、上記の職種であれば必ずしも在留資格を取得できるというわけではなく、外国人本人の経歴と、就く業務との関連性があるかがとても重要となります。そこが関連していないと申請が不許可になる可能性が高いです。

2.在留資格「技術・人文知識・国際業務」を申請するための要件

「技術・人文知識・国際業務」を申請するためには、どのような要件があるのでしょうか。まず大切なことは、学歴などの条件が必要となります。

学歴については海外か日本の大学卒業、または日本の専門学校卒業以上が必要となり、海外の大学卒の場合は日本の大学卒に相当するという証明が必要で、海外の専門学校卒では、この要件の学歴は満たせません。だたし、必要となる学歴を満たせない場合でも、「技術・人文知識」は実務経験(職歴)10年以上、「国際業務」は3年以上で要件を満たすことが可能です。

さらに、業務内容は学歴(職歴)との関連性が必要で、外国人本人の専門的な知識・スキル、感受性を活かせる業務内容ではなければ、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は基本的には取得不可です。

受け入れ企業の経営状態が安定しているかどうかも審査され、給与の水準が日本人と同等かそれ以上であるか、同一労働同一賃金が適用されているか、同様業務を行う日本人社員と同等もしくはそれ以上の給与条件であるか、などを確認しておく必要があります。

3.在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請方法

申請には以下の③つのパターンが考えられます。

①海外から直接採用し来日する場合

・受け入れ企業が外国人と雇用契約を締結。

・受け入れ企業が「在留資格認定証明書交付申請」を行う。

・「在留資格認定証明書」を外国人本人に送付。

・外国人本人が日本大使館に査証(ビザ)を申請。

・来日し就労開始。

②留学生などの日本にいる外国人を採用する場合

・企業が外国人と雇用契約を締結。

・外国人本人が「在留資格変更許可申請」を行う。

・就労開始。

③日本国内の他社で働いていた外国人を採用する場合

・企業が外国人と雇用契約を締結。

・外国人本人が「就労資格証明書交付申請」を行う。

(在留資格を変更が必要な場合は、外国人が「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。)

・就労開始。

どの場合も申請から許可までには30日以上かかることがあり、外国人を海外から来日してもらう場合の「在留資格認定証明書交付申請」手続きにはおおよそ40日程度、留学生の在留資格を変更する場合の「在留資格変更許可申請」手続きがには40日〜50日程度かかる可能性があります。そして申請前の書類作成や添付書類の収集などの準備にも60〜120日程度がかかるため、スケジュールを確認しながら行う必要がります。

4.採用する際に注意すべきポイント

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の外国人を採用する上で注意すべき内容を以下に解説していきます。

①副業・アルバイトには「資格外活動許可」が必要です。

社内規定でアルバイトが許容されているのであればアルバイトをすることも可能ですが、アルバイトの内容も、「技術・人文知識・国際業務」で許可されたもののみ可能です。また、アルバイトをする場合は「資格外活動許可」が必要です。

②社内異動に伴う業務変更に注意が必要です。

社内異動に伴って業務内容が変更になる場合、異動後の業務内容が在留資格にあっているかどうかの確認が必要です。

単純労働などはもちろん不可ですが、「技術・人文知識・国際業務」の資格の中での変更はケースバイケースとなるので、不安がある場合は念のため出入国在留管理庁に確認することをおすすめします。実務経験と業務の関連性が薄いなど、内容によっては不許可になる可能性もあります。

③更新時期に注意が必要です。

在留期間の次の更新申請がいつかを受け入れ企業側も把握しておくことが必要です。「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は、3カ月、1年、3年、5年で、最初の申請は1年更新となることが多いです。万が一期限を超えて在留していると不法滞在になってしまい、不法滞在外国人の雇用していると、受け入れ企業も「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。

④在留資格「技術・人文知識・国際業務」では単純労働はできない

専門知識を必要とする業務に就くための在留資格のため、工場のライン作業や飲食店の接客作業などの単純労働をおこなうことは認められていません。

⑤業務によっては在留資格「特定技能」が適している場合もあります。

単純労働を含む業務として外国人を採用したい場合は、在留資格の「特定技能」の方が適している場合があります。試験に合格する必要はありますが、特定技能の方が「技術・人文知識・国際業務」よりも対応できる業務が多く、大学卒業のような学歴条件もないので採用の門戸を広げやすいです。

⑥不許可になってしまったときの対応

様々な準備をした上でも不許可になってしまったときは、入管に不許可の理由を確認して対処をすることで、別の在留資格の取得を検討したり、過去の職務履歴などから業務の関連性を証明できれば許可される可能性があります。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、在留期間の更新回数に制限がなく、家族の帯同も可能なため求職者にとって人気の在留資格ですが、審査は年々厳しくなっており、中でも外国人本人の学歴(職歴)と業務との関連性が重要視されています。出入国在留管理庁の職員が学歴と業務内容との関連性があると納得できるような内容の書類作成が重要です。

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