特定技能の宿泊分野ついて詳しく解説!

  1. コラム
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【目次】

1. 特定技能「宿泊業」の制度概要

  • 在留資格と特定技能ビザの適用範囲

2. 宿泊業で求められる特定技能1号の日本語試験と技能試験の内容

  • 定められている日本語試験と必要なレベル
  • 宿泊業技能評価試験
  • 宿泊業技能評価試験

3. 宿泊業の事業主(受け入れ機関)に求められる条件

  • 入会方法

4. 技能実習2号から特定技能「宿泊」へ移行

5. 申請に必要な書類

  • 申請者に関する書類
  • 所属機関(受け入れ企業)に関する書類

6. まとめ

1. 特定技能「宿泊業」の制度概要

宿泊分野の特定技能1号外国人が従事できる業務は、下記の通りです。

①フロント:チェックイン・チェックアウト、周辺の観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配などを行います。

②企画・広報:キャンペーン・特別プランの立案、館内案内チラシの作成、ホームページ・SNSでの情報発信などを行います。

③接客:館内案内、宿泊客からの問い合わせ対応などを行います。

④レストランサービス等:注文への応対、サービス(配膳・片付け)、料理の下ごしらえ・盛り付けなどを行います。

  • 宿泊施設館内でのお土産物の販売、館内備品の点検や交換といった、関連業務を一緒に行うことも差し支えありません。ただし、関連業務のみを行うことは認められませんので、ご注意ください。

(出典)観光庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領

―宿泊分野の基準について―本文・別表(令和元年11月29日一部改正」

  • 在留資格と特定技能ビザの適用範囲
在留資格(ビザ)の種類フロント企画・広報接客レストランサービス備考
特定技能学歴・職歴不問
経営・管理××××管理職等、経営に携わるポジションのみ可能
技術・人文知識・国際業務             ×××関連した学歴または職歴が求められる。
技能×××△         外国料理の調理師は申請可。要職歴。

今まで宿泊施設で就労ビザを取得できるのは、関連した学歴を取得している企画・広報や経理といった専門職。もしくは熟練したスキルを有する外国料理の調理師など、一部に限定されていました。

特定技能1号ビザでは、現場スタッフのポジションで外国人雇用が可能です。

これにより多言語対応できるフロントスタッフを揃えるなど、訪日外国人への対応が実現します。

2. 宿泊業で求められる特定技能1号の日本語試験と技能試験の内容

宿泊施設で外国人が特定技能ビザを申請する際、合格しなければならない日本語試験と技能評価試験の詳細をご説明します。

  • 定められている日本語試験と必要なレベル

日本語能力は、以下の2つの試験で判断されます。

試験名受験料実施主体方法回数試験日程
日本語能力試験Webサイトをご確認ください【国内】独立行政法人国際交流基金マークシート年2回実施【日本】 2022年7月3日(日) 2022年12月4日(日) 【海外】 日本語能力試験JLPTホームページ
【国外】日本国際教育支援協会1回~2回
国際交流基金日本語基礎テスト  Webサイトをご確認ください独立行政法人国際交流基金CBT方式約6回、国外のみ実施国際交流基金ホームページのJFT-Basic 2022年度テストスケジュール
  • 宿泊業技能評価試験
「宿泊業技能測定試験」
実施主体一般社団法人宿泊業技能試験センター
試験言語日本語
実施方法学科試験(コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式)及び実技試験(コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又は口頭による判断等試験)
合格水準学科試験および実技試験それぞれの正答率が65%以上
試験時間55分
試験問題数34問
試験科目➀学科試験(選択式真偽法(CBT方式)) ・30問(45分) ➁実技試験(口頭による判断等試験(CBT方式)) ・4問(10分)
受験料3,850円 ※出入国在留管理庁が半額補填
試験日程一般社団法人宿泊業技能試験センターのホームページを下記のようにご確認ください。 国内:https://caipt.or.jp/tokuteiginou/entryax/ 国外:https://otaff1.jp/gaisyoku/?c=kokugai

(出典)一般社団法人宿泊業技能試験センターホームページ

3. 宿泊業の事業主(受け入れ機関)に求められる条件

特定技能外国人を受け入れる宿泊業の企業・団体は、通常の受け入れ機関の要件に加え、以下を満たす必要があります。

  • 旅館・ホテル営業の許可を受けて旅館業を営んでいること
  • 国土交通省が設置する協議会に加入していること
  • 協議会に対し、必要な協力を行うこと

まず、受入れ機関が「旅館・ホテル営業」の許可を得ている必要があります。新規で営業を始める企業の場合は、この許可申請から始めましょう。

旅館・ホテル営業の許可が下りている場合でも、風俗営業法に規定されている施設(ラブホテル)での勤務や同法律で規定されている接待(コンパニオンサービス)に従事させることは認められていません。

受入れ機関は、特定技能外国人を最初に受け入れてから4ヵ月以内に「宿泊分や特定技能競技会」への加入が必要です。会費は不要で、観光庁のサイトより必要書類をダウンロードし、観光庁まで直接郵送しましょう。

これらに加えて、国土交通省もしくは委託された人や団体の調査、指導に対しては協力的であることが求められます。受け入れにあたっては、特定技能外国人の支援準備も必要です。

さらに、初めて1号特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に宿泊分野特定技能協議会に入会し、協議会の調査や指導に対し必要な協力を行う必要があります。

  • 入会方法

観光庁のホームページの【宿泊分野特定技能協議会】項目を確認し、必要書類をダウンロードし、作成後、観光庁 観光産業課 観光人材政策室に郵送します。

  • 郵送先

〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-2

観光庁 観光産業課 観光人材政策室

4. 技能実習2号から特定技能「宿泊」へ移行

2020年2月25日の法改正により、技能実習2号の対象職種に宿泊業が追加されました。これにより、「宿泊業にて技能実習2号」を修了した外国人が日本語能力試験の受験が免除され、受験せずに特定技能1号「宿泊業」へ移行可能です。

継続した雇用・勤務を希望する場合、企業にとっても外国人労働者にとってもプラスに働く仕組みになったといえます。特定技能1号としては最長5年間在住が可能なため、技能実習期間と合わせ、中・長期に渡るスキルアップも見込めます。

5. 申請に必要な書類

宿泊分野において特定技能在留資格を申請する際に提出する書類は、出入国在留管理庁の公式サイトからダウンロードが可能です。

申請書類は、大まかに「申請者に関するもの」「所属機関(受け入れ企業)に関するもの」「宿泊分野に関するもの」の3つに分けられます。

それぞれの項目で必要な書類をご紹介します。

  • 申請者に関する書類

申請者本人に関する必要書類は下記の通りです。

1. 表紙
2. 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(第1表)
3. 在留資格認定書交付申請書
4. 特定技能外国人の報酬に関する説明書(第1-4号)
5. 特定技能雇用契約書の写し(第1-5号)
6. 雇用条件書の写し※別紙 賃金の支払(第1-6号)
7. 雇用の経緯に係る説明書(第1-16号)
8. 徴収費用の説明書(第1-9号)
9. 健康診断個人票※別紙 受診者の申告書(第1-3号)
10. 1号特定技能外国人支援計画書(第1-17号)
11. 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(第1-25号)
12. 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類

2.の「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(第1表)」に必要書類のチェックリストが付属しているので、事前に確認しておくと申請がスムーズになるでしょう。

また留学ビザから特定技能への切り替えを行う場合などは変更にあたるため、これらの書類では手続きできません。こちらを参考に、変更用の書類を用意しましょう。

  • 所属機関(受け入れ企業)に関する書類

かなり多くの書類を提出する必要があるため、早めに必要書類を確認して準備をはじめましょう。

13. 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
14. 特定技能所属機関概要書(第1-11号)
15. 登記事項証明書
16. 業務執行に関与する役員の住民票の写し
17. 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(第1-23号)
18. 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
19. 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
20. 税務署発行の納税証明書(その3)
21. 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年分)

14.の特定技能所属機関概要書では、受け入れを行う施設における支援体制を事業所ごとに詳細にわたって記載する必要があります。

6. まとめ

この記事では、在留資格「特定技能」の14業種の中の1つ「宿泊」について詳しく紹介しました。

訪日外国人観光客の増加とともに、日本が今後観光先進国となるよう、外国人労働者と企業の共創に期待していきたいです。

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