「特定技能2号」は、熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格であり,「特定技能1号」より高い技能を持つことが必要です。このような技能水準を持っていることは試験等によって確認されます。よって、「特定技能1号」を経れば自動的に「特定技能2号」に移行できるわけではありません。
現在、特定技能2号の取得は、事実上「1号からの移行」のみに限定されています。まずは特定技能1号を取得してから、技能試験を受けて2号に移行する形となります。技能水準に関しては、試験等で確認し、日本語能力水準に関しては、試験等での確認は不要とされています。
「特定技能2号」を取得するための要件の概要について解説しています。
【目次】
1. 航空
2. 造船・舶用工業
3. 自動車整備
4. 外食業
5. 飲食料品製造業
6. 漁業
7. 農業
8. 宿泊
9. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
10. ビルクリーニング
11. まとめ
1.航空
①試験
- 空港グランドハンドリング業務・・・「航空分野特定技能2号評価試験」
- 航空機整備業務・・・「航空分野特定技能2号評価試験」または「航空従事者技能証明」
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
②実務経験
- 空港グランドハンドリング業務・・・空港グランドハンドリングの現場で、技能者を指導しながら作業に従事した経験。
- 航空機整備業務・・・航空機整備の現場で、専門的な知識・技量を要する作業を実施した3年以上の経験。
2.造船・舶用工業
①「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」
詳しくはこちらです。
②「技能検定1級」
③実務経験
造船・舶用工業で複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての2年以上の経験。
「監督者」とは、グループ長やグループリーダー等といった者をいい、実務経験とは、例えば、自らのグループの各従業員への作業指示、製作物の確認、安全確保のための設備や作業場環境の点検、作業計画の作成、作業の進捗管理等を行いながら、造船・舶用工業における業務に従事した経験をいいます。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
3.自動車整備
①試験
- 「自動車整備分野特定技能2号評価試験」
- 「自動車整備士技能検定試験2級」
②実務試験
- 「自動車整備分野特定技能2号評価試験」合格の場合
道路運送車両法第 78 条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業場での3年以上の経験。
- 「自動車整備士技能検定試験2級」合格の場合
実務経験不要。
道路運送車両法第 55 条に基づく、「自動車整備士技能検定試験2級」は、自動車の点検・整備に係る一般的な知識及び技能を有し、整備を行うための必要な能力を測るものであり、試験に合格した者は、熟練した知識や経験を有する者と認められることから、必要な水準を満たしているものと評価されます。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
4.外食業
①「外食業特定技能2号技能測定試験」
②「日本語能力試験」N3以上
詳しくはこちらです。
③実務試験
食品衛生法の営業許可を受けた飲食店で、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての、2年間の経験。
「複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督」とは、2名以上のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督することを指し、指導・監督を受ける者の国籍、在留資格、職責等は問いません。また職場の状況やシフトの都合等により、常時2名以上いる体制でなくとも問題ありません。
「店舗管理を補助する者」とは、店長や事業所責任者が行う店舗管理(衛生管理全般、求人・雇用に関する事務、顧客情報の管理、会計事務管理、食材・消耗品・備品の補充・発注・数量管理等)の業務を補助するものとし、例えば、副店長、サブマネージャー、サブリーダー、サブチーフ、班長、担当部門長、事業所副責任者等のような役職が想定されますが、店長、事業所責任者などとして、店舗管理に従事することも含みます。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
5.飲食料品製造業
①試験
「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」
学習用テキストはこちらです。
②実務経験
飲食料品製造業分野で複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の経験。
「複数の従業員を指導しながら作業に従事し」とは、2名以上の技能実習生、アルバイト従業員及び特定技能外国人等を指し、指導・監督を受ける者は日本人を含み、国籍は問いません。また、指導・監督を行う技能実習生、アルバイト従業員及び特定技能外国人等は必ずしも同一人物でなくてもよく、また職場の状況やシフトの都合等により一部の期間または時間で、2人以上の指導・監督を行わない期間または時間があっても問題ありません。
「指導する」とは、作業員に対し直接または間接的に作業工程等について主導することが想定されます。
「工程を管理する者」とは、飲食料品製造業分野の対象業種や工場等の規模にもよりますが、事業所責任者(工場長等)が行う飲食料品製造業全般に関する管理業務を補助するものとし、例えば、担当部門長、ライン長、班長等のような役職が想定されます。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
6.漁業
①試験
- 漁業・・・「2号漁業技能測定試験」
- 養殖業・・・「2号漁業技能測定試験」
②日本語能力
- 漁業・・・「日本語能力試験」N3以上
- 養殖業・・・「日本語能力試験」N3以上
③実務経験
- 漁業・・・漁船法上の登録を受けた漁船で、操業を指揮監督する者を補佐する者または作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての経験。
- 養殖業・・・漁業法及び内水面漁業の振興に関する法律に基づき行われる養殖業の現場で、養殖を管理する者を補佐する者または作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての経験。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
7.農業
①試験
- 耕種農業全般・・・「2号農業技能測定試験」
- 畜産農業全般・・・「2号農業技能測定試験」
②学習用テキスト – 農業技能測定試験はこちらです。
③実務経験
- 耕種農業全般・・・耕種農業の現場で複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の経験または耕種農業の現場での3年以上の経験。
「複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する」とは、自然条件の変化に応じて自らの判断により農作業を行うとともに、2名以上の作業員を指導・監督し、作業工程を管理することを指し、指導を受ける作業員の国籍、職責は問いません。また、複数の作業員を指導する期間は必ずしも同一期間である必要はなく、繁閑期などの農業の特性により、管理業務に従事した期間のうち一部指導を行わない期間があっても問題ありません。
また、「耕種農業の現場での」実務経験とは、施設園芸、畑作・野菜、果樹等の耕種農業の現場で、自然条件の変化に応じて自らの判断により農作業に従事した経験を指します
- 畜産農業全般・・・畜産農業の現場で複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の経験または畜産農業の現場での3年以上の経験。
「複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する」とは、家畜の個体や畜舎環境の変化に応じて自らの判断により農作業を行うとともに、2名以上の作業員を指導・監督し、作業工程を管理することを指し、指導を受ける作業員の国籍、職責は問いません。また、複数の作業員を指導する期間は必ずしも同一期間である必要はなく、飼養衛生管理などの畜産の特性により、管理業務に従事した期間のうち一部指導を行わない期間があっても問題ありません。
また、「畜産農業の現場での」経験とは、養豚、養鶏、酪農等の畜産農業の現場において、家畜の個体や畜舎環境の変化に応じて自らの判断により農作業に従事した経験を指します
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
8.宿泊
①試験
「宿泊分野特定技能2号評価試験」
②実務経験
宿泊施設で複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した経験。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
※実務経験について、宿泊分野特定技能2号評価試験の受験申込のときに、受験者が実務経験証明に係る所定の様式を提出することにより確認予定(様式は観光庁において作成中)。
9.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
次の2つのルートのうちいずれかの条件を満たす必要があります。どちらのルートでも、日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場での3年以上の実務経験が必要となります。
①特定技能2号評価試験ルート
- 「ビジネス・キャリア検定3級」の取得と「製造分野特定技能2号評価試験」の両方の合格が必要になります。
ビジネス・キャリア検定3級取得はこちらです。
(生産管理プランニング区分、生産管理オペレーション区分のいずれか)
- 製造分野特定技能2号評価試験の合格はこちらです。
(機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、金属表面処理区分のいずれか)
②技能検定ルート
- 「技能検定1級」はこちらです。
(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、工業包装のいずれか)
③実務経験
日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場での3年以上の経験。
- 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
10.ビルクリーニング
①「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」
②「技能検定1級」
詳しくはこちらです。
特定建築物(建築物衛生法第2条第1項)の建築物内部の清掃または建築物清掃業(建築物衛生法第 12 条の2第1項第1号)、建築物環境衛生総合管理業(建築物衛生法第 12 条の2第1項第8号)の登録を受けた営業所が行う建築物(住居を除く。)内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者としての2年以上の経験。
- 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領はこちらです。
11.まとめ
以上、特定技能2号の分野拡大について、それぞれの分野で特定技能2号に移行するための詳細をお伝えしました。
受入れ企業は新しい制度が開始されたときのために、特定技能1号からどのように移行できるのか必要条件や対応について考えておくことが大切です。
特定技能外国人にもメリットのある今回の改正内容を把握し、即戦力となる外国人労働者をサポートしていきましょう!
「特定技能2号」の資格は「熟練した技能」を持つと認定された外国人に与えられます。 ただし、いきなり「特定技能2号」とはならず、「特定技能1号」の資格を取得してからさらに難しい技能試験に合格したものだけが「特定技能2号」として認められることになります。日本語試験は新たに課されることはありません。
「特定技能2号」を取得すれば家族を帯同することも可能になります。さらに日本国内で「独立生計を営めるだけの資産」を持ち、「通算10年以上在留」すれば、永住権の申請要件を満たすことになります。
外国人が「特定技能2号」の在留資格を取得するためには、長年の実務経験等により身につけた熟練した技能が求められます。技能水準を満たしているかどうかは、特定産業分野ごとに定められた試験と実務経験で確認されます。
なお、介護分野については、専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるので、「特定技能2号」の対象外となります。