こんにちは!SUB GREENです。
特定技能の「航空業」は、 2019年4月に出入国管理法(入管法)が改正され、ビザ制限の緩和がなされました。新しい在留資格「特定技能」の追加により、外国人特定技能人材の採用が航空業で可能となりました。これにより、今後の労働力不足の緩和が期待されます。
今回は航空業界での業務内容や特定技能所属機関の要件や外国人が航空分野の特定技能1号を取得する要件、協議会について解説します。
【目次】
1.航空業界で特定技能外国人が従事できる業務
- 航空グランドハンドリング業務(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)
- 航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)
2.特定技能所属機関(受入れ企業)の要件
①外国人人材を受け入れるための条件
②特定技能所属機関に対して特に課す条件
3. 外国人が航空分野の特定技能1号を取得する要件
①技能試験と日本語能力試験に合格する
②特定技能所属機関に対して特に課す条件
4. 航空業で受け入れの際は協議会への加入が必須!
- 協議会の概要
- 協議会の加入は受け入れから4か月以内!
5. まとめ
1. 航空業界で特定技能外国人が従事できる業務
特定技能「航空」で従事できる業務は、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2種類です。それぞれの業務内容を詳しく解説します。
- 航空グランドハンドリング業務(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)
航空グランドハンドリングとは、「グラハン」とも呼ばれる航空業に41
航空機地上走行支援業務(航空機の駐機場への誘導や移動)
手荷物・貨物取扱業務(手荷物・貨物の仕分け、ULDへの積付、取り降し・解体)
手荷物・貨物の搭降載取扱業務(手荷物・貨物の航空機への移送、搭降載)
航空機内外の清掃整備業務(客室内清掃、遺失54物等の検索、機用品補充や機体の洗浄)
離着陸の際に滑走路で働いている方たちが、グランドハンドリング業務の従事者です。安全確認ではチームワークが求められ、手荷物の取り扱いではある程度の体力が求められます。
- 航空機整備
航空機整備業務は、飛行機の整備が主な仕事。以下のような業務が含まれます。
運航整備(空港に到着した航空機に対して、次のフライトまでの間に行う整備)
機体整備(通常1~1年半毎に実施する、約1~2週間にわたり機体の隅々まで行う整備)
装備品・原動機整備(航空機から取り下ろされた脚部や動翼、 飛行・操縦に用いられる計器類等及びエンジンの整備)
無事に飛行機が飛ぶための点検やエンジンオイルの交換など、精確性が求められる業務です。真面目にコツコツと働ける方が向いているでしょう。
また、事務作業や除雪作業、清掃作業などの日本人が通常行う業務については、行って問題ありません。ただし、あくまで不随する業務であり、メインの業務として従事させてはいけません。
どちらも航空機が安全に飛行するために不可欠な業務。受け入れ機関の方は、自分の企業が上記2つの業務に含まれているのか確認しておきましょう。それぞれの業務内容や特徴について、詳しく解説します。
2.特定技能所属機関(受入れ企業)の要件
①外国人人材を受け入れるための条件
番号 | 条件 |
1 | 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること |
2 | 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと |
3 | 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと |
4 | 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと |
5 | 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと |
6 | 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと |
7 | 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと |
8 | 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと |
9 | 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること |
10 | 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること |
11 | 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること |
12 | 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと |
13 | 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定) |
出入官庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」はこちらです。 |
②特定技能所属機関に対して特に課す条件
以上の条件をクリアしたうえで、以下の条件にもクリアする必要があります。
ア 空港管理者により空港管理規則に基づく当該空港における営業の承認等を受けた事業者若しくは航空運送事業者又は航空法に基づき国土交通大臣の認定を受けた航空機整備等に係る事業場を有する事業者若しくは当該事業者から業務の委託を受ける事業者であること。 |
イ 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「航空分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。 |
ウ 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。 |
エ 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。 |
オ 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記イ、ウ及びエの条件を満たす登録支援機関に委託すること。 |
カ 特定技能所属機関は、特定技能外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付すること。 |
法務省「航空分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」はこちらです。 「航空分野特定技能協議会」に加盟し、協議会の活動や特定技能人材の育成に協力をすることが必要です。 協議会への加盟については国土交通省のHP【航空分野特定技能協議会】の箇所をご参考ください。 なお、協議会の加盟は、特定技能人材の受け入れから4ヶ月以内にする必要があります。 |
3.外国人が航空分野の特定技能1号を取得する要件
現場で即戦力となる技能及び日本語のレベルがあると認められる場合に特定技能1号が認可されます。具体的には下記の2つの場合です。
①技能試験と日本語能力試験に合格する
- 特定技能評価試験
求められる技能水準とは、業務ごとに以下のように定められています。
<空港グランドハンドリング業務>
社内資格を有する指導者やチームリーダーの指導・監督の下、空港における航空機の誘導・けん引の補佐、貨物・手荷物の仕分けや荷崩れを起こさない貨物の積みつけ等ができるレベル
<航空機整備業務>
整備の基本技術を有し、国家資格整備士等の指導・監督の下、機体や装備品等の整備業務のうち基礎的な作業(簡単な点検や交換作業等)ができるレベル
出典:国土交通省「航空分野における新たな外国人材の受入れについて」
試験は従事する業務区分ごとに行われ、筆記試験と実技試験で構成されています。筆記試験では対象業務に関する基本事項が〇×問題や選択問題で出題され、実技試験では同様に基本事項について、写真やイラストから判断する問題が出題されます。正答率65%以上で合格です。
学習用テキストはこちらです。
試験の日程はこちらです。
- 日本語能力試験
この試験では、求められる日本語水準を満たしているかどうかが評価されます。
「日本語能力試験(JLPT)N4以上」は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力と言われています。試験はマークシート方式で、年に2回、日本各地と海外の実施機関で行われます。
「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」はJLPTと同様の目的で行われますが、実施場所ごとにスケジュールが異なります。スケジュールはこちらのサイトからご確認ください。日本国内での試験は2021年3月1日から実施されます。
②航空分野に該当する職種の技能実習2号を修了する
「特定技能」の外国人を雇用したい企業は下記の3条件を満たし、かつ、当該の外国人を直接雇用する必要があります。派遣社員としての雇用は認められておりませんのでご注意ください。
- 「航空分野特定技能協議会」に入会し、必要な協力を行う
はじめて特定技能1号外国人を雇用する企業は、受け入れ後4か月以内に「航空分野特定技能協議会」に入会する必要があります。
- 国土交通省が行う調査や指導に対し、必要な協力を行う
- 特定技能1号外国人への支援を適切に実施する
特定技能1号外国人の受け入れのためには、法律で定められた支援を行う体制を構築する必要があります。
ただし、支援を登録支援機関にすべて委託した場合、適切な支援体制が整備されているとみなされます。支援を委託する場合には、上記①と②を満たしている登録支援機関に委託する必要があります。
F技能試験や日本語試験など、航空業で特定技能を取得するためには合格しなければいけない試験があります。両方一度に勉強して合格するのは案外大変。しかし、航空分野の第2号技能実習を修了した方は、技能試験と日本語試験がどちらも免除になります!
4. 航空業で受け入れの際は協議会への加入
- 協議会の概要
初めて航空業での受け入れをする際には、航空分野特定技能協議会(協議会)への加入が必須です。協議会は、以下の目的で設置されています。
特定技能外国人の適正な保護・受け入れを行う
各地域の特定技能所属機関(受入れ機関)が必要な外国人を受け入れる
構成員が相互に連携をとることで特定外国人を適正に雇用し、受け入れの地域差をなくすことを目指した組織です。協議会に加入して構成員になったら、その後協議会へ必要な協力を行うことが義務付けられています。
なお、2回目以降の航空業での特定技能外国人受け入れの場合は、構成員であることの証明書を発行して地方出入国在留管理局に提出する必要があります。
協議会へは、特定技能外国人の入国後4ヶ月以内に加入しなければなりません。初めて航空業で特定技能外国人を受け入れる場合は、「航空分野特定技能協議会の構成員となる旨の誓約書」を提出する必要があります。
2回目以降の航空業での特定技能外国人の受け入れまたは在留資格更新の場合は新規加入の必要はありませんが、「構成員であることの証明書」を提出します。もし証明書の提出がない場合は、特定技能の在留資格が認められません。
協議会への加入は、受け入れ機関が特定技能外国人を受け入れたあとにすぐに取り掛かるべき手続きのひとつ。特定技能外国人が入国したらすぐに、準備を始めましょう。協議会についての質問は、国土交通省の各事務局にお問い合わせください。
お問い合わせはこちらです。
- 協議会の加入は受け入れから4か月以内!
協議会への加入は、特定技能所属機関(受入れ機関)だけでなく登録支援機関も必要です。加入の届出は、国土交通省のホームページからダウンロードできます。特定技能所属機関用と登録支援機関用に異なる様式が用意されているので、間違えないように注意しましょう。
協議会加入届出はこちら
加入の届出などの書類は、電子メールで送信します。
空港グランドハンドリング : hqt-ground-handling01@gxb.mlit.go.jp
航空機整備 : hqt-jcab-youseiline@mlit.go.jp
メールの場合は書類の押印は不要です。メールでの送信ができない場合に限り、郵送での受付も行っています。空港グランドハンドリングは「航空ネットワーク企画課」、航空機整備は「運航安全課乗員政策室」宛てに郵送しましょう。
6.まとめ
特定技能「航空」とは、外国人が航空業界の仕事に従事できる在留資格です。
従事できる業務は、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2種類です。
空港グランドハンドリング業務では、航空機地上走行支援、手荷物・貨物取扱業務、手荷物・貨物の搭降載取扱業務、航空機内外の清掃整備業務をおこなうことができます。
航空機整備業務では、運航整備、機体整備、装備品・原動機整備に従事することが可能です。
特定技能で外国人を受け入れる場合は、外国人は特定技能評価試験、日本語試験に合格、または技能実習2号を修了している必要があります。
受け入れ企業は、法令等に基づく事業所であることの証明、「航空分野特定技能協議会」への加入、支援体制の構築が必要です。