注目の特定技能「製造業」について徹底解説!業務内容や受け入れ方法は?

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2019年4月に施行された特定技能の対象となる職種は14分野でしたが、2022年の4月に12分野になりました。素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業が統一され、【素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業】という3つの分野に統合されたのです。

この記事では、注目の特定技能「製造業」について解説します。

【目次】

1.特定技能「製造業」とは?

2.特定技能「製造業」3分野の業務区分・職種

●素形材産業分野に該当する業種

●産業機械製造業

●電気・電子情報関連産業

3.特定技能(製造業3分野)の在留資格を取得する要件

①技能試験

②日本語試験

4.製造分野受け入れの注意点

5.特定技能「製造業」の企業の要件

6.特定技能「製造業」分野の協議会の加入要件

7.まとめ

1.特定技能「製造業」とは?

「特定技能制度」は、国内で人材を確保することが難しい状況にある産業に、専門性や技能を有する外国人を受け入れることを目的として設立されました。従来の製造業における特定技能外国人の在留資格は、「素形材産業分野」、「産業機械製造業分野」、「電気・電子情報関連製造業分野」の3分野での申請が行われていました。

しかし製造3分野は、令和4年4月26日から「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」という1つの分野に統合されました。以前は以下の3つの分野に分かれており、3つまとめて「製造3分野」と呼ばれていました。

以前は3つの分野だったものが1つに統合されたのは、「素形材産業」分野での特定技能1号の受け入れが見込み数を超えてしまったから。受け入れの少なかった「産業機械製造業」と「電気・電子情報関連製造業」と統合することで、新分野での受け入れが可能になりました。

製造業では高度な日本語のスキルを求められることが少なく未経験でも始めやすい、また続ければ専門的な知識を身に着けられるという点で外国人から人気な分野のひとつとなっています。

引用はこちらです。

2.特定技能「製造業」3分野の業務区分・職種

特定技能の在留資格を持つ外国人が、働くことのできる製造業の業務区分と、職種は以下の通りです。

●素形材産業分野に該当する業種

「素形材産業」で、要件を満たした外国人が従事できるのは以下の職種です。

1鋳型製造業(中子を含む)
2鉄素形材製造業
3非鉄金属素形材製造業
4機械刃物製造業
5作業工具製造業
6バルグ・コックを除く配管工事用附属品製造業
7金属素形材製品製造業
8溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
9電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
10金属熱処理業
11その他の金属表面処理業(アルミニウム陽極酸化処理業に限る)
12ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
13はん用機械器具製造業(消火器具・消火装置製造業を除く)
14生産用機械器具製造業
15業務用機械器具製造業(医療用機械器具・医療用品製造業及び武器製造業を除く)
16電子部品・デバイス・電子回路製造業
17電気機械器具製造業(内燃機関電装品製造業を除く)
18情報通信機械器具製造業
19工業用模型製造業

また、任せられる業務は下記の3区分に分けられます。

1機械金属加工 鋳造 •ダイカスト •金属プレス加工 •工場板金 •鍛造 •鉄工 •機械加工 •仕上げ •プラスチック成形 •溶接 •塗装• 電気機器組立て •機械検査 •機械保全 •工業包装
2電気電子機器組立て •機械加工 •仕上げ •プラスチック成形 •電気機器組立て •電子機器組立て •プリント配線板製造 •機械検査 •機械保全 •工業包装
3金属表面処理 •めっき •アルミニウム陽極酸化処理
参考はこちらです。

●産業機械製造業

「産業機械製造業」の中で、要件を満たした外国人が従事できるのは以下の職種です。

1鋳造
2鍛造
3ダイカスト
4機械加工
5金属プレス加工
6鉄工
7工場板金
8めっき
9治工具仕上げ金型仕上げ機械組立仕上げ
10機械検査
11機械系保全
12電子機器組立て回転電機組立て変圧器組み立て電機版・制御盤組み立て開閉制御具組み立て回転電機巻線製作
13電気機器組立て
14プリント配線板製造プリント配線板設計
15プラスチック圧縮成形プラスチック射出成形インフレーション成形ブロー成形
16建設塗装金属塗装鋼橋塗装噴霧塗装
17手溶接半自動溶接
18工業包装

●電気・電子情報関連産業

「電気・電子情報関連産業」の中で、要件を満たした外国人が従事できるのは以下の職種です。

1機械加工 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、旋盤、フライス盤、ボール盤等の各種工作機械や切削工具を用いて金属材料等を加工する作業に従事
2機械保全 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持し保全する作業に従事
3塗装 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、塗料を用いて被塗装物を塗膜で覆う作業に従事
4金属プレス加工 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、金型を用いて金属材料にプレス機械で荷重を加えて、曲げ、成形、絞り等を行い成形する作業に従事
5電子機器組立て 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、電子機器の組立て及びこれに伴う修理を行う作業に従事
6溶接 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、熱又は圧力若しくはその両者を加え部材を接合する作業に従事
7工場板金 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、各種工業製品に使われる金属薄板の加工・組立てを行う作業に従事
8電気機器組立て 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、電気機器の組立てや、それに伴う電気系やメカニズム系の調整や検査を行う作業に従事
9工業包装 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、工業製品を輸送用に包装する作業に従事
10めっき 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、腐食防止等のため金属等の材料表面に薄い金属を被覆する作業に従事
11プリント配線版製造 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、半導体等の電子部品を配列・接続するためのプリント配線板を製造する作業に従事
12仕上げ 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、手工具や工作機械により部品を加工・調整し、精度を高め、部品の仕上げ及び組立てを行う作業に従事
13プラスチック成形 指導者の指示を理解し又は自らの判断により、プラスチックへ熱と圧力を加える又は冷却することにより所定の形に成形する作業に従事)

特定技能外国人が、これ以外の関連作業に従事したとしても問題はありません。例として、フォークリフトの運転作業や保守管理、清掃業務などが挙げられます。

3.特定技能(製造業3分野)の在留資格を取得する要件

特定技能1号の在留資格を取得するには、外国人本人が①技能試験②日本語試験に合格する必要があります。

①技能試験

製造業3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)の技能試験のことを「製造分野特定技能1号評価試験」といいます。

製造分野特定技能1号評価試験は、19の試験区分に分かれています。

1鋳造
2鍛造
3ダイカスト
4機械加工
5金属プレス加工
6鉄工
7工場板金
8めっき
9アルミニウム陽極酸化処理
10機械検査
11機械系保全
12電子機器組立て
13電気機器組立て
14プリント配線板製造
15プラスチック成形
16塗装
17溶接
18工業包装
19仕上げ

②日本語試験

日本語試験は、どちらかの試験に合格する必要があります。

(1)国際交流基金日本語基礎テスト

(2)日本語能力試験(N4以上)

※技能実習2号を良好に修了した外国人の方は、技能試験と日本語試験が免除されます。

引用はこちらです。

4.製造分野受け入れの注意点

製造分野で特定技能を取得するには、2つのルートがあります。

  • 技能試験と日本語能力試験に合格
  • 技能実習2号を良好に修了

技能実習2号を良好に修了すると、技能試験と日本語試験が免除になります。ただ、技能実習生の時と従事する職種が同じでなければなりません。

試験に合格する方も増えていますが、技能実習生からの移行ルートがメインの取得ルート。製造3分野でも令和4年3月末のデータでは、試験の合格ルートの方は全体の1%未満でした。

また、受け入れ時には以下のことにも気を付けなければなりません。

  • 協議会への加入は必須
  • 対象の日本標準産業分類の番号の細分類に当てはまるかチェック

産業分類の対象職種でないと特定技能で受け入れが認められないので、注意しましょう。

5.特定技能「製造業」の企業の要件

特定技能制度を使って外国人を受け入れるには、製造業の3分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)を行う事業者が以下の企業の要件を満たしていなければなりません。

①事業を継続しているか

一つ目は事業者が継続して製造業を行っていることが認められることです。特定技能制度における製造業の判別は事業者が直近1年間に素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業に分類される産業を行い、製造品の出荷額等を発生させているかどうかで判断されます。

「製造品出荷額等」とは直近1年間における製造品の出荷額や加工賃の収入額、くず廃物の出荷額やその他の収入を合計したもので消費税などの税金を含んだ額を指します。これらの収入額をそれぞれ具体的に説明します。

  • 加工賃の収入額

直近1年間で他企業が所有する主要原材料によって製造された製品、あるいは他企業が所有する製品又は半製品に加工や処理を加えた際に受け取った賃金のことを指します。

  • その他収入額

くず廃物の出荷額以外(転売収入。仕入れて又は受け入れてそのまま販売したもの)、修理料収入額、冷蔵保管料及び自家発電の余剰電力の販売 収入額等)の収入額を指します。

 ②事業者所有の原材料で製造されているか

もう一つの要件は売り上げを得た製造品は事業所が所有する原材料によって製造され、出荷されている必要があります。また、以下のようなケースも製造出荷として含まれます。

製造出荷に該当する例

同一企業に属する他の事業所へ引き渡したもの

自家使用されたもの(その事業所において最終製品として使用されたもの)

委託販売に出したもの(販売済みでないものを含み,直近1年間中に返品されたものを除く)

6.特定技能「製造業」分野の協議会の加入要件

特定技能外国人を雇うために欠かせないステップが、「協議会」への加入です。協議会について知っておきたい3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 申請時期はビザ申請前
  • 費用は入会金・年会費無料
  • 登録支援機関の加入義務はなし

以下、4点いずれもテンプレートにて提出して下さい。

全届出者 必須4点セット
1製造品の画像と説明文(※1)
2製造品が最終的に組み込まれる完成品(最終製品)の画像と説明文(※1)
3製造品を生産するために用いた設備(工作機械、鋳造機、 鍛造機、プレス機等)の画像及び説明文(※1)
4事業実態を確認できる、直近1年以内の証跡画像(上記①の製造品の納品書、出荷指示書、仕入れ書等)  
※届出する分野に該当する製造品について、画像や資料に加え、詳細な説明をお願いいたします。また、本届出は事業所単位となります。製造品等の画像等は、特定技能外国人材を受け入れる事業所において製造しているものをご提出下さい。特定技能外国人材を受け入れる事業所以外の事業所で製造している製造品は証明書類とはなりません。  

素形材産業分野用_証明書類作成テンプレートはこちらです。

産業機械製造業分野用_証明書類作成テンプレートはこちらです。

電気_電子情報関連産業分野用_証明書類作成テンプレートはこちらです。

以下は、該当者のみ提出して下さい。

該当者のみ 準備が必要
5請負による製造の場合は、『請負契約書の写し』(※2)
6権利等の関係で、製造品等の画像を提出できない場合は、『製造品の画像提出不可の理由書』(様式自由)
7その他、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会から確認の過程で追加提出の指示があったもの(初回届出時は不要です)
※2請負業務で製造する製造品が、届出する分野に該当している、と明示的に確認できる契約書を提出して下さい。

証明書類作成上の具体的な留意点は、「証明書類サンプル」を確認してください。

必要事項が網羅されていない場合、画像が不鮮明・該当製造品や完成品(最終製品)が分かりづらい場合、納品書等の文字が小さく読み取れない場合等は、再度、書類を提出いただく必要があり、入会までに時間を長く要する場合があります。

7.まとめ

製造業での受け入れを叶えるためには、時間に余裕を持って早めの準備が必要です。

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の産業分類は、少しややこしいと認めざるをえません。特定技能ビザの申請前に協議会に入る必要があるのですが、入会には対象業務の確認と提出書類の用意があります。初めて特定技能外国人を受け入れる方は、こんなにも大変なものなのかと感じることもあるでしょう。

登録支援機関として多くの特定技能外国人受け入れの実績を誇るKMTなら、製造業での受け入れのサポートも可能です。5ヶ国語に対応してお待ちしていますので、製造業での受け入れが困難に感じたらぜひご相談ください。

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