「介護」において、特定技能外国人を雇用する場合、他の在留資格と比べてどのような違いがあるのでしょうか?他と比べて特定技能が推奨されるメリットなども含めて解説していきます。
- 「介護」で、特定技能外国人の受け入れができる業務・業種とは?
- 「介護」で受入れ可能な④タイプの外国人と、特定技能を選ぶ⑥メリット
- 「介護」での、受入れ企業(特定技能所属機関)の要件とは?
- 「介護」で、特定技能外国人を活用する上での注意点とは?
- まとめ
「特定技能制度」(Specific skill system)・・・
特定技能制度は、2019年4月から始まった制度で、国内での人材確保が困難な産業分野で、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることができる制度。
今回は、その中の一つ、「介護」について解説させていただきます。
介護においては、在留資格「介護」や「EPA」などに比べて、特定技能という在留資格は創設からまだ日が浅い分野です。
特定技能「介護」以外でも介護職に就くことができる資格はありますが、業務範囲が広く、人数も増えていくことが見込まれており、特定技能「介護」が経済的にも外国人を受け入れやすいものとなっています。
他の在留資格と比較すると、特定技能は人数を多く確保しやすく、制度的に利用しやす炒め、介護の現場に、特定技能外国人の受け入れを検討することはとても大切になってくるでしょう。
- 「介護」で特定技能外国人の受け入れができる業務・業種とは?
「介護」において、特定技能外国人に任せられる業務の特徴として対応できる業務の幅が広くなっていて、制限が少ないことがあります。
具体的には、技能実習生では不可の一人での夜勤も可能で、それ以外にも訪問系サービス以外であれば、身体介護と付随する支援業務であれば行うことができます。
訪問系サービスには従事できませんが、それ以外の業務に制限がないことはかなりのメリットと言えます。
より詳しくは、
厚生労働省「『介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』に係る運用要領」(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000507686.pdf)にも記載がありますが、次のように規定されています。
- 技能試験などにより確認された技能を要する身体介護など
利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助などの業務
- 当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務
例えば、お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充など、付随的に従事する場合
- 就業場所は「介護」業務の実施が一般的に想定される範囲、具体的には、介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認められる施設
(すなわち訪問介護サービスには就労不可)
2.「介護」で受入れ可能な④タイプの外国人と、特定技能を選ぶ⑥メリット
まず前提として、介護職員として外国人を雇用する場合、特定技能「介護」以外にも3つの在留資格があり、それらのそれぞれの特徴から解説します。
①在留資格「介護」
在留資格「介護」は、2017年9月から始まった制度で、介護福祉士養成学校を卒業後、国家試験の「介護福祉士」に合格することで得られる在留資格です。
在留期間の上限はなく、更新を行えば永続的に日本で働くことが可能です。
業務の制限もなく、もちろん訪問系サービスにも従事可能です。
しかし当然ながら、日本語能力がかなり必要となり、国家試験の合格者のみ取得可能な資格のため、人数は少なく、採用には難しいのが現状です。
採用した企業側が、介護福祉士養成学校の費用を出すケースもありますが、その場合の費用も数百万円は必要となります。
②特定活動EPA
インドネシア、フィリピン、ベトナムに送り出し国が限定されているEPA(経済連携協定)に基づく在留資格で、人数が少ないのが現状です。
こちらは国家間の経済的な連携強化と、「介護福祉士」の国家資格を取得目的とした制度で、一定の期間内で資格を取得できなければ帰国しなければならないことになっています。ですが、資格取得後は制限なく更新ができ、永続的に働くことが可能です。
従事できる業務は、特定技能の場合と同じく、訪問系サービスには制限はかかりますが、
介護保険3施設、認知症グループホーム、特定施設、通所介護、通所リハ、認知症デイ、ショートステイと定められており、介護福祉士の資格取得後であれば、一定の条件を満たした事業所であれば訪問系サービスも可能となっています。
③技能実習「介護」
技能実習「介護」は日本から相手国への技能移転(国際貢献)を目的とした制度で、学歴・資格などの要件は基本的にありません。
1年目:技能実習1号、2~3年目:技能実習2号、4~5年目:技能実習3号とあり、合計すると最長で5年の滞在が可能ですが、こちらも訪問系サービスは不可となっています。
人数も増えてきている制度で、採用しやすい在留資格ではありますが、何も知らないところからの育成となるため介護業務ができるようになるまでには時間が必要となります。
以上の、③つがあります。
では、特定技能外国人はと言いますと、下記の⑥つの点において選ぶメリットがあると言えます。
①日本語を使った声かけができ、テキストで学べるような基本的な介護についての知識がる。
②雇用後すぐに施設の配置基準に含めることができる。
③新設からから3年未満でも導入することができる。
④初年度から日本人常勤介護職員数まで採用ができる。
⑤技能実習外国人と比べると報告などの負担が少なく、管理が比較的楽である。
⑥業務範囲が広く、訪問系サービス以外の業務であればできる業務が多い。
3.「介護」での受入れ企業(特定技能所属機関)の要件とは?
特定技能外国人を雇用するためには、企業は、法令・雇用に関して以下を満たしている必要があります。
①労働、社会保険、租税関係法令を遵守していること。
②1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと。
③5年以内に出入国・労働法令違反がないこと。
出典:厚生労働省「新たな外国人材の受入れについて」と出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』について」をもとに作成
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000488894.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
4.「介護」で特定技能外国人を活用する上での注意点とは?
①介護分野では人材不足状況が都道府県や地域ごとに大きく異なるため、事業所単位で特定技能資格者の受け入れ人数枠が設定されています。
②「特定技能外国人支援計画」の策定、支援の実行や特定技能協議会への参加の義務があります。
『特定技能外国人支援計画』・・・
受け入れ機関は特定技能外国人の就労と生活を支援する体制を用意する必要があります。
住宅の確保、生活するためのオリエンテーション、生活するための日本語習得、相談・苦情受付、日本人との交流を促進、転職や在留資格の変更許可申請の際のスムーズな情報の提供などがあります。
これらについて受け入れ前に支援計画を策定することが必要ですが、自社内で完結することが難しい場合、登録支援機関に支援計画の実施を委託することが可能です。
『特定技能協議会』・・・
特定技能資格者の受け入れ機関は、所轄省庁、関係省庁、業界団体、学識経験者などで構成されている分野別特定技能協議会への参加の義務があります。
協議会では、制度趣旨の周知やコンプライアンスの啓発、就業構造、経済情勢や人手不足状況の把握、分析、受け入れ地域の偏りの是正などが行われます。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
「介護」には、特定技能以外にも雇用の方法があるため、それぞれの利点を考慮していくことも必要となります。
厚生労働省のこちらのガイドブックもぜひご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496822.pdf
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