2019年4月、新たな 在留資格「特定技能」が創設されました。これにより、建設分野では、多くの外国労働者が働けるようになりました。特定技能は全部で12業種(2022年に14業種から再編)あり、外国人材が保持する技能レベルに応じて、特定技能1号と特定技能2号の二つに区分されます。

12業種ある特定技能のうち、特定技能1号と2号の両方がある業種は、建築業と造船・舶用工業の2業種のみです(2022年10月現在。特定技能1号と2号の違いは、以下『特定技能1号「建設」を取得するための要件』『特定技能2号「建設」を取得するための要件』で解説します)。

このように、1号と2号の両方が設定されているということは、特定技能「建設」は、他の業種に比べて外国人材を採用する可能性が高いといえます。

【目次】

  1. 特定技能「建設」の背景とは
  2. 建設分野 現在の受入れ対象職種
  3. 受入手続
  4. まとめ

【本文】

1. 特定技能「建設」の背景とは?

建設業界は慢性的な人手不足に陥っています。

令和4年3月に行われた、国土交通省「建設労働需給調査」によって、建設業の多くの分野において人手不足であることが改めて示されました。

国土交通省「建設労働需給調査」

その調査によって、特に土木分野の型枠工の人手不足は顕著にあらわれています。

背景には若い労働人口の不足と、技術者の高齢化が進んでいることが考えられます。

建設業の技能者は45~49歳で賃金水準はピークになり、そこから急激に下がります。 これは体力のピークとも比例していることもあり、マネジメント力が評価されにくいことは顕著に現れています。 そのため、そもそも建設業を選ぶ若い労働人口も減少しているということも、人手不足の原因といえます。

この人手不足は、再開発事業の盛んな首都圏だけでなく、全国的に高まっています。 今後はインフラの老朽化が進み、さらに建設業界は人手が必要となってきます。 その慢性的な人手不足の打開策として制定された、特定技能外国人の受け入れ制度です。 以下では、特定技能外国人を建設業で雇用することについて述べます。

2. 建設分野 現在の受入れ対象職種

建設分野の業務でもともとは11職種に分かれていましたが、2022年8月に「土木」、「建築」、「ライフライン・設備」に再編成されました。

土木区分建築区分ライフライン・設備区分
型枠施工/コンクリート圧送/トンネル推進工/建設機械施工/土工/鉄筋施工/とび/海洋土木工/その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業建築板金、建具製作、建築大工、型枠施工、鉄筋施工、とび、石材施工、タイル張り、かわらぶき、左官、内装仕上げ施工、表装、サッシ施工、防水施工、コンクリート圧送施工、築炉、鉄工、塗装、溶接電気通信/配管/建築板金/保温保冷/その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業

建設分野特定技能1号評価試験(土木・建設・ライフライン・設備)等に合格するか、以下の職種の技能実習2号を滞りなく修了すると試験免除となり、特定技能1号に進めます。

3. 受入手続

  • 建設特定技能受入計画の認定への必要書類
番号書類名備考
1.登記事項証明書(履歴事項全部証明書)申請日より3か月以内発行のものをPDFで送付ください。
2.建設業許可証写し有効期限をご確認、PDFで送付ください。
3.厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書社会保険加入の確認書類PDFを送付ください。(全員分)
氏名の横に下記表示をご記載ください。
実習生は「実」
外国人建設就労者は「建」
パートさんなどは「パ」 非常勤役員は「非」
4.建設キャリアアップ事業所ID確認書類https://www.ccus.jp

建設キャリアアップシステムは、技能者ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげるシステム
事業登録完了はがき、 事業者情報新規登録完了メールのいずれかを送付ください。
5.建設キャリアアップシステム技能者ID確認書類外国人特定技能の物
https://www.ccus.jp
6.特定技能外国人受入事業実施法人加入証明書一般社団法人建設技能人材機構(JAC)は、深刻化する人材不足を抱える日本の建設業界に、建設分野における外国人材の適正かつ円滑な受入れを実現するために、2019年4月に設立された組織です。
主に評価試験の実施、無料職業紹介事業の実施および建設分野特定技能外国人の適正な就労環境確保のための就労管理を行っています
近畿生コンクリート圧送協同組合様経由で頂戴します。

https://jac-skill.or.jp/
7.ハローワークに申請した求人申込書等ハローワークで求人した際の求人票(申請日から直近1年以内。 建築・土木の作業員の募集であること)
※ハローワークに求人を出したことがない場合は、一度求人を出して、 その求人票を提出すること
求人を現在出されていない場合は新しく出し、そちらをPDF で送付ください。
8.就業規則労働基準監督署に提出したものの写し。
常時10人以 上の労働者を使用していない企業であってこれらを作成していない場合には提出不要。
9.賃金規定労働基準監督署に提出したものの写し。
常時10人以 上の労働者を使用していない企業であってこれらを作成していない場合には提出不要。
10.36協定届時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)、変形労働時間に係る協 定書、協定届、年間カレンダー(有効期限内のもの) (変形労働時間採用の場合のみ)
 有効期限内のものかつ労基署提出済みのもの
11.社内同等キャリア日本人の経歴書、賃金台帳→経歴書に記載した経験年数と、同等の技能を有する日本人と 同等額以上の報酬であることの説明書に記載した実務経験の 年数とは一致していますか?
 →建設業許可申請で提出する「実務経験証明書」とは異なります。 左の参考書式を使用するか、形式は任意ですが必要情報を全て 網羅したものを提出してください。
※任意の書式の場合は学歴は省略可です。
技能者と同等の技能、キャリアを有する日本人社員の方のもの。 賃金台帳は直近1年分をお願いします。
12.特定技能雇用契約書及び雇用条件書作成済みのため不要
13.雇用契約に係る重要事項事前説明書こちらで作成し、お送りします。 技能者の署名をお願いいたします。
14.オンラインシステム登録用メールアドレス外国人就労管理システムへの登録用アドレスをお願いします。 近畿地方整備局より随時連絡が入ります。

引用:https://www.mlit.go.jp 
  • 詳細情報ご案内

建設分野の特定技能外国人の受入手続については、各省のホームページで確認できます。 国土交通省ホームページ

建設分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)

法務省ホームページ

新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(在留資格「特定技能」)

(一社)建設技能人材機構(JAC)への加入について

受入企業は特定技能外国人受入事業実施法人((一社)建設技能人材機構(JAC))に加入する必要があります。JACの正会員である建設業者団体の会員となるか、JACの賛助会員となるか選択することができます。詳細は、(一社)建設技能人材機構(JAC)のHPをご確認ください。

引用:https://jac-skill.or.jp/

「無料職業紹介」ページ開設のご案内

(一社)建設技能人材機構(JAC)が、「無料職業紹介」ページを開設しました。

このページは、

  • 在留資格「特定技能」で働きたい、特定技能外国人を募集している建設企業を探したい
  • 在留資格「特定技能」で働いているけれど、転職先の企業を探したい

という方々のために開設されたものです。

詳細はJACサイトをご参照ください。 JACの「無料職業紹介」ページはこちら 建設特定技能受入後講習

新たな在留資格「特定技能」で入国し、建設分野での就労をスタートさせる外国人の方がたのために講習会を実施します。

*国土交通大臣から建設特定技能受入計画の認定を受けた受入企業は、特定技能外国人の受入れ後、この講習を受講させることが義務付けられています。

【お知らせ】

令和5年3月1日以降に実施する、建設特定技能受入後講習の受講料については、特定外国人受入事業実施法人であるJACが負担することになりました。詳細及び経過措置についてはJACホームページをご参照ください。

JACホームページ:https://jac-skill.or.jp

問合せ電話番号(JAC):0120-220-353

「2022-2023年度建設特定技能受入後講習」のご案内(PDF)をご確認の上、お申込みください。

  • 開催日は随時更新(3月13日更新)されます
  • 定員になり次第締め切らせていただきます
  • 2023年3月までのお申込みは こちら から
  • フォームに開催日がない場合は、お手数ですがメールにてお申込みください

「2022-2023年度建設特定技能受入後講習」 申込書(Word版)

4. まとめ

特定技能は、日本語力の高い外国人技術者を、日本人と同等の作業内容で即戦力として雇用できる制度です。

また、建設業では18業務で雇用が可能であり、作業内容の汎用性が高いということもメリットです。

人材不足を緩和するためにも、建設業において特定技能外国人の雇用制度はこれからますます活用されていくことになりそうです。